失敗事例とリカバリー|PMOが現場を立て直す方法
- 石山

- 11月1日
- 読了時間: 8分
失敗事プロジェクトの現場では、要件定義の曖昧さやコミュニケーション不足など、失敗は避けられません。
本記事では、PMOがどのように現場を立て直し、失敗を次の成功へと変えるのかを解説した動画をご紹介します。
01|導入フェーズ:失敗から学ぶ意義
1-1.失敗から学ぶ意義
プロジェクトの成功の裏には、必ず失敗があります。
しかし多くの現場では「失敗」を語ることを避けがちです。
なぜなら、失敗は恥ずかしいもの、隠すべきものと捉えられてしまうからです。
しかし、実際には、大きな成功を収めたプロジェクトほど、その裏には数多くの失敗と試行錯誤が存在しています。
失敗を経験し、その原因を分析し、改善につなげたからこそ成功にたどり着けたのです。
PMOの役割は、単に進捗を管理することではありません。
むしろ、失敗を正しく捉え、そこから学びを引き出し、次の成功へとつなげる「立て直しの専門家」です。
👉 あなたの現場では、失敗を「隠すもの」として扱っていますか?
それとも「学びに変えるもの」として扱っていますか?
この視点の違いが、プロジェクトの未来を大きく左右します。
1-2.失敗事例から学ぶ
成功事例は確かに参考になります。
しかし、成功事例だけを追いかけても現場のリアルは見えてきません。
なぜなら、現場では必ず失敗が起こるからです。
例えば、要件定義の曖昧さから手戻りが多発したり、部門間の認識齟齬から納期が遅延したり。
こうした失敗は、どの現場でも一度は経験する「あるある」です。
大切なのは、失敗を避けることではなく、失敗をどうリカバリーするかを知識として持つこと。
リカバリーの方法を体系的に学び、仕組みとして現場に根付かせることができれば、失敗は単なるマイナスではなく、次の成功へのステップになります。
👉 PMOにとって最大の武器は「失敗を知っていること」、そしてその失敗を「再現しない仕組み」に変えられることです。
02|実践フェーズ:典型的な失敗パターン
ここからは、現場で実際に起こる典型的な失敗パターンを取り上げ、PMOがどのように介入し、立て直していくのかを具体的に見ていきます。
2-1.要件定義の曖昧さ
プロジェクトが失敗に向かう典型的な第一歩は、要件定義の曖昧さです。
「とりあえず進めてみよう」という空気のままスタートすると、後から「あれも必要」「これも追加してほしい」と要求が膨らみます。
例えば、最初は「顧客管理システム」を作るはずだったのに、途中から「営業支援機能も欲しい」
「分析ダッシュボードも追加してほしい」と要望が増えていく。
結果、設計は二転三転し、手戻りが多発。
開発チームは疲弊し、コストは当初見積もりの1.5倍、2倍に膨らんでいきます。
👉 PMOとして重要なのは、この曖昧さを放置しないことです。
要件定義の段階で「何をやるか、何をやらないか」を明確に線引きし、合意を取る。
さらに、変更が発生した場合は「影響範囲とコスト」を必ず可視化して、意思決定者に判断を委ねる。
要件定義は単なるドキュメント作成ではありません。
プロジェクトの成功を左右する「契約」であり「約束」です。
ここを曖昧にしたまま進めることこそが、最大のリスクなのです。
2-2.コミュニケーション不足
次に多い失敗は、コミュニケーション不足です。
部門間で認識がずれると、情報共有は属人化し、納期は遅延します。
「伝わっているはず」という思い込みが最大の落とし穴です。
例えば、開発チームは「仕様は確定した」と思っていても、営業は「まだ調整中」と考えている。
このズレが積み重なり、最後に大きな爆発を生みます。
結果、顧客との約束は守れず、信頼を失う。
👉 PMOの役割は、この「ズレ」を最小化することです。
会議体を設計し、情報共有の仕組みを整える。
例えば、課題管理表を全員で共有し、ステータスを色分けするだけでも、認識の齟齬は大幅に減ります。
コミュニケーション不足は、単なる「話し合い不足」ではありません。
それは、仕組みの欠如です。
PMOは、現場に「正しく伝わる仕組み」を設計することで、プロジェクトを前に進めるのです。
2-3.品質管理の後手
品質管理が後手に回ると、プロジェクトは一気に信頼を失います。
例えば、テスト工程を後ろ倒しにした結果、リリース直前に不具合が大量に発覚。
現場は徹夜対応に追われ、顧客からは「なぜもっと早く気づけなかったのか」と厳しい声が飛びます。
👉 PMOは、品質を最後にまとめて担保するのではなく、早期レビュー・段階的テストを仕組みに組み込む必要があります。
品質は「最後に検証するもの」ではなく「最初から作り込むもの」なのです。
2-4.リスク管理の欠如
リスク管理が欠けていると、プロジェクトは常に火消し対応に追われます。
外部ベンダーの納品遅延や法規制の変更といったま「想定外」が発生したとき、リスク一覧が存在しなければ、誰も備えていません。
結果、現場は右往左往し、本来の開発は止まってしまいます。
👉 PMOは、リスクを洗い出し、発生確率と影響度を評価し、事前対応策を明確化する。
「想定外を想定内に変える」ことこそ、PMOの真価です。
2-5.マネジメント不在
意思決定が遅れ、責任の所在が不明確になると、チームは混乱します。
仕様変更の判断が1週間遅れるだけで、開発はストップし、納期は1か月遅れる。
現場は「誰が決めるのか」が分からず、疲弊していきます。
👉 PMOは、意思決定プロセスを設計し、責任の所在を明確化することで、チームを前に進める推進力を生み出します。
これは単なる管理ではなく、組織の「意思決定の交通整理」です。
2-6.失敗がもたらす影響
失敗は数字に直結します。
コストは20〜30%増加
納期は数か月単位で遅延
チームは疲弊し、離職リスクが高まる
👉 PMOは、失敗の影響を定量的に示し、改善の必要性を経営層に伝える役割も担います。
03|リカバリーの基本方針と施策
3-1.基本方針
リカバリーの第一歩は、現状を正しく把握すること。
次に、優先順位を再設定し、再発防止の仕組みを導入する。
👉 PMOは「火消し」ではなく「再設計者」として立ち回る必要があります。
3-2.具体的な施策
見える化(進捗管理):ダッシュボード導入、KPI共有、問題の早期発見
見える化(課題管理):課題一覧を全員で共有、色分けで状況を明確化、解決責任者を明確化
会議設計(頻度・内容):炎上時は日次会議、議題は「課題・解決策・担当」に限定
第三者レビュー:外部視点で早期検証、手戻り削減
リスク管理強化:リスク一覧作成、発生確率と影響度を評価、事前対応策を明確化
04|成果フェーズ:リカバリーの成果と学び
4-1.リカバリー成果①(数字での改善)
リカバリー前の現場は、進捗は遅れ、不具合は山積み、メンバーは疲弊し、顧客からの信頼も揺らいでいました。
しかし、リカバリー施策を導入したことで状況は大きく変わりました。
進捗の見える化により、問題が早期に発見され、手を打つスピードが上がった
会議設計を見直したことで、意思決定が迅速になり、チームの動きがスムーズになった
第三者レビューを取り入れたことで、仕様や品質の抜け漏れを早期に発見できた
👉 その結果、納期遵守率は95%に回復し、不具合は40%削減。
数字は単なる成果の証明ではなく、現場の努力と改善の積み重ねを示す「信頼の証」です。
4-2.リカバリー成果②(信頼関係の再構築)
リカバリーの成果は数字だけでは語り尽くせません。
もっと大きな変化は「チームの信頼関係」に現れます。
リカバリー前は、責任の所在が不明確で、誰も意思決定を下せず、現場は混乱していました。
しかし、PMOが意思決定プロセスを設計し、責任の所在を明確にしたことで、状況は一変。
決定が迅速に下されるようになり、チームは迷わず動けるようになったのです。
👉 リカバリーは単なる「火消し」ではなく、信頼を再構築し、チームを再生させるプロセスなのです。
4-3.学びの整理
失敗は避けられないが、早期発見で致命傷を防げる
小さな改善の積み重ねが大きな成果につながる
PMOの真価は「再発防止の仕組み化」と「継続的改善サイクル」
👉 PMOは「一度のリカバリー」で終わるのではなく、改善を定着させ、組織文化にまで落とし込む存在です。
失敗は避けられない現実ですが、それをどう扱うかで未来は変わります。
今日からできることは、まず「失敗を隠さず共有する文化」を作ることです。
小さな改善の積み重ねが、大きな成果につながります。
そして次のSTEP⑤「品質と検証」では、リカバリーで得た知見を品質保証に組み込み、再発防止を仕組み化します。
これにより、現場は単なる火消しから脱却し、持続的に成果を出す組織へと進化できるのです。
05|次のSTEP⑤へ
STEP4では、失敗事例とリカバリーを通じて、PMOの役割を学んできました。
ここで得た知見は、次のSTEP⑤「品質と検証」に直結します。
STEP4は「立て直し」。
STEP5は「品質を仕組みに組み込み、検証を徹底する段階」です。
リカバリーで得た「見える化・会議設計・リスク管理」の知見を、品質保証の仕組みや第三者テストに反映させることで、トラブルを未然に防ぎ、効率的な開発を実現できます。
👉 つまり、STEP4で学んだことをSTEP5に活かすことで、品質を担保しながら持続的に改善サイクルを回す現場を作ることができるのです。
📣 関連リンク
🔥 失敗を恐れず、リカバリーを武器に変えること。
これが、持続的に成果を出すPMOの真価です。





























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