top of page

KPI設計とダッシュボード活用|設計編:KPI定義と期待値の明確化

【導入】

KPI設計とダッシュボード活用は、単なる数字管理ではありません。プロジェクトの未来をデザインし、意思決定の質を高めるための「技術」です。




KPIは、現場の状況を見える言語に変換し、チーム全員が同じ方向を向くための羅針盤として機能します。


しかし現場では、

  • 形だけのKPI

  • 飾りになったダッシュボード

  • 報告会で終わるレビュー


こうした「形骸化」が頻繁に起こります。その原因はシンプルで、


  • KPIが現場で使える設計になっていない

  • 運用が意思決定につながる形になっていない


からです。KPIは作ることが目的ではなく、動かし、意思決定につなげ、成果へ変えるための仕組み です。


この記事では、YouTube動画の内容に沿って

「設計 → 導入 → 定着」 の3ステップのうち、まずは 設計フェーズ(KPI定義と期待値の明確化) を深掘りします。 



1. KPIとは何か(KPIの本質)

KPIとは 重要業績評価指標=成功を測る物差し です。


プロジェクトの状態を、誰が見ても同じ基準で判断できるようにするための「共通言語」。


感覚や経験ではなく、数字という客観的な言語で現状を捉えるための仕組みです。


ただし、ここで重要なのは、KPIは数字そのものが目的ではない、ということ。


数字は、意思決定を支えるために存在しています。

KPIの本質は、


  • 問題の所在を明確にする

  • リソース配分を判断する

  • リスクの優先順位を決める


といった 意思決定の基盤 になることです。さらにKPIは、プロジェクトの方向性を示す「羅針盤」でもあります。


複数の課題が同時に存在する中で、

  • 今、何を最優先にすべきか

  • どこに力を注ぐべきか

  • 何を守り、何を捨てるべきか


この優先順位を揃える役割を果たします。



2. KPI設計の目的(なぜ設計が必要なのか)

KPI設計は、単に数字を決める作業ではありません。


プロジェクトを成功に導くための「土台づくり」です。


目的①:成果とプロセスを両面で測る

成果だけを追うと疲弊し、


プロセスだけを追うと「やっている感」だけが残る。だからこそ、


  • 成果指標(結果)

  • プロセス指標(行動)


この両方を測る必要があります。成果は「何が起きたか」。


プロセスは「なぜそうなったか」。

この2つが揃って初めて、改善の打ち手が見えるようになります。


目的②:チーム全員の共通認識をつくる

プロジェクトには異なる視点が存在します。


  • 開発:技術リスク

  • 営業:顧客との約束

  • マネージャー:リソース

  • 経営層:ROI


この「バラバラの視界」を揃えるのがKPIです。KPIが明確になると、


  • 会話が揃う

  • 判断が速くなる

  • 無駄な衝突が減る


チーム全体が同じ方向へ進み始めます。


目的③:改善サイクルを回す基盤をつくる

KPIは報告のための数字ではありません。


KPI → ダッシュボード → アクション → 再設計

このサイクルが回り始めると、


プロジェクトは「改善し続ける組織」へと変わります。


数字を見る → 問題に気づく → 手を打つ → 改善される


この循環が自然に生まれる状態が理想です。


3. SMART基準:動くKPIをつくる設計思想

SMART基準は、KPIを“動かす”ための設計思想です。

Specific(具体的)抽象的なKPIは機能しません。


例:

×「品質を上げる」

○「レビュー指摘の再発率を月5件以下にする」


Measurable(測定可能)

測れないKPIは存在しないのと同じです。


  • データソース

  • 測定方法

  • 測定頻度

  • 担当者


ここまで明確にして初めて「測れる指標」になります。


Time-bound(期限がある)

期限がないKPIは永遠に後回しになります。


例:

×「不良率を下げる」

○「今期末までに不良率を3%以下にする」


SMART基準が揃った瞬間、KPIは数字から、行動を変える仕組みへ進化します。


4. 成果指標とプロセス指標(守りと成長の両輪)

成果指標とプロセス指標は対立するものではありません。


どちらも必要で、役割が異なります。成果指標=守り


  • 納期遵守率

  • ROI

  • 不良率


外部への約束を守るための指標。

プロセス指標=成長


  • レビュー実施率

  • 進捗報告率


問題を起きる前に気づくための早期警報装置。

PMOが目指すべきは、


短期的な成果 × 長期的な改善 の両立です。


5. 期待値との連動(KPIは期待値の翻訳装置)

プロジェクトが止まる最大の原因は、


スキルでもツールでもなく 期待値のズレ です。


  • 経営層はスピード

  • 現場は品質

  • クライアントは成果の早期化


どれも正しい。

しかし揃っていなければ、判断は揺れ続けます。


成功基準の共有

「何を成功と呼ぶのか」


これを揃えるだけで、迷いが激減します。


KPIは期待値の「翻訳装置」


  • 経営層 → リリース日

  • 現場 → 品質指標

  • クライアント → 中間アウトプット


期待値とKPIが結びつくと、判断基準が揃い、意思決定が速くなります。


優先度の調整

複数の「正しい優先度」をPMOが調律し、全体最適へ導くことが重要です。


【まとめ】

KPIは数字ではなく、プロジェクトを成功に導く“意思決定インフラ” です。


  • 成果とプロセスを測り

  • チームの視界を揃え

  • 改善サイクルを回し

  • 期待値を統一し

  • 優先度を整える


これらが揃ったとき、プロジェクトは自然と前に進み、成果が積み上がっていきます。


次回予告(導入フェーズ)

次の記事では、「KPI設計とダッシュボード活用|導入フェーズ:測定方法とダッシュボード活用」

を解説します。


  • KPIを“測れる状態”にするデータ設計

  • ダッシュボードを意思決定の武器にする方法

  • レビューを“報告会”から“判断の場”へ変える仕組み


設計編でつくったKPIを、いよいよ“現場で動かすフェーズ”に入ります。





 
 
 

コメント


特集記事
最新記事
bottom of page