ベンダーコントロールが崩壊する5つの兆候|炎上案件になる前に見抜く方法
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更新日:7 時間前
再生請負人#2 炎上案件は突然起きない
「ベンダーが悪い」炎上案件で最も多く聞く言葉です。
しかし、再生請負人として数多くのプロジェクト再建に携わってきた中で、本当にベンダーだけが原因だった案件はほとんどありません。
納期遅延。品質問題。要件変更の連鎖。ベンダー同士の対立。責任の押し付け合い。
これらは結果であって原因ではありません。
本当に見るべきは、その前に必ず発生している「ベンダーコントロール崩壊の兆候」です。
炎上案件は突然起きません。崩壊は静かに始まります。
そして多くの企業は、崩壊したことに気付く頃には既に手遅れになっています。
今回は再生請負人の視点から、ベンダーコントロールが崩壊する5つの兆候について解説します。
ベンダーコントロールとは何か
まず誤解を解きましょう。ベンダーコントロールとは、ベンダーを管理することではありません。
ベンダーを監視することでもありません。
本来のベンダーコントロールとは、
意思決定を機能させる
情報を正しく流通させる
責任範囲を明確にする
問題を早期発見する
ための仕組みです。
ところが炎上案件では、ベンダーコントロールを
「進捗確認」「会議開催」「報告資料作成」
と勘違いしているケースが非常に多くあります。
だから問題が見えなくなる。
だから炎上する。
なぜベンダーコントロールは崩壊するのか
多くの企業は、ベンダーコントロールが崩壊する原因をベンダー側に求めます。
しかし、再生案件の現場で見えてくる真実は少し異なります。
ベンダーコントロールが崩壊する最大の原因は、発注者がプロジェクトの主導権を失うことです。
意思決定が遅れる。課題が放置される。責任範囲が曖昧になる。
するとベンダーは自社を守る行動を取り始めます。その結果として、
責任転嫁
情報の出し渋り
課題の先送り
過剰な自己防衛
が発生します。
多くの人はこれをベンダーの問題だと思います。
しかし実際には、ベンダーが悪いのではなく、そうせざるを得ない構造が生まれているのです。
この状態になると、どれだけ優秀なベンダーを投入してもプロジェクトは改善しません。
だから再生請負人は、人ではなく構造を見るのです。
兆候① 「順調です」が増える
最も危険な兆候です。現場から報告が上がる。しかし内容を見ると、
順調です
問題ありません
引き続き対応します
現在確認中です
ばかり。
一見すると問題がないように見えます。しかし再生案件では、
こういうプロジェクトほど危険です。本当に健全なプロジェクトには必ず課題があります。
例えば
設計レビューが遅れている
テスト環境準備が遅延している
要件確認待ちが発生している
リソース不足が見えている
など。
課題がゼロということはありません。つまり問題は、課題がないのではなく、
課題を言わなくなっているのです。
現場には空気があります。
報告しづらい
責められる
面倒になる
こうして重要な情報が失われます。
炎上案件の多くは、
問題が発生したから失敗するのではありません。
問題が見えなくなった時点で失敗が始まっています。
兆候② 課題管理が形骸化している
再生案件で最初に確認するのは課題管理表です。すると驚くほど綺麗な資料が出てきます。
しかし現場を聞くと、
誰も見ていない
更新していない
実態と違う
というケースが少なくありません。
本当に危険なのは、課題管理表が存在しないことではありません。
存在しているのに機能していないことです。
例えば、
課題件数が何週間も変わらない。期限切れ項目が放置される。担当者が未設定。対策が「確認する」のまま。
これは管理ではありません。問題を先送りしているだけです。
健康診断を受けても、結果を見なければ意味がないのと同じです。
兆候③ ベンダー同士が責任転嫁を始める
再生請負人#4 問題ではなく、原因を見る
ここから炎上が加速します。会議でこんな発言が増え始めます。
「要件が曖昧でした」
「設計レビューが不十分でした」
「テスト観点が不足していました」
「インフラ側の対応待ちです」
一見すると正論です。しかし問題は、誰も解決策を話していないことです。
責任論が中心になった瞬間、プロジェクトは前に進まなくなります。
再建案件では、責任者会議が裁判になっていることがあります。
誰が悪いか
ではなく
どう立て直すか
に議論を戻せるか。
そこが分岐点です。ベンダーコントロールが機能している組織では、責任論の前に対策が出ます。
崩壊している組織では、対策の前に責任論が出ます。
兆候④ 意思決定が止まる
再生請負人#5 責任者が決断できない会社
多くの企業は「ベンダー管理が悪い」と思っています。
しかし実際の炎上案件では、発注者側の意思決定停止が原因であることが非常に多い。
例えば
要件変更の承認が下りない
優先順位が決まらない
追加予算が承認されない
リスク判断が先送りされる
すると現場は止まります。
ベンダーも動けません。結果として進捗が止まります。
再生案件でよく見かけるのが、会議は毎週やっているという状態です。
しかし決定事項がない。これは会議ではありません。情報共有会です。
プロジェクトを動かすのは会議ではなく意思決定です。
意思決定が止まれば、どんな優秀なベンダーでも成果は出せません。
兆候⑤ PMOが資料作成組織になっている
再建案件で最も多い問題です。PMOが忙しい。しかし成果が出ない。
理由は単純です。仕事が
議事録作成
進捗集計
報告資料作成
会議運営
だけになっているからです。
これはPMOではありません。事務局です。本来PMOは、問題を解決するために存在します。
例えば
リスク分析
真因分析
ベンダー調整
経営判断支援
課題解決推進
まで関わるべきです。
ところが多くの現場では、管理することが目的になっている。
管理のための管理です。すると資料は増える。しかし問題は減らない。これが炎上案件でよく見る光景です。
再生請負人が見る本当の原因
私たちは、ベンダーを見ていません。もっと深いところを見ています。
例えば
なぜ問題が見えないのか
なぜ判断できないのか
なぜ責任が曖昧なのか
なぜ情報が上がらないのか
です。
炎上案件の原因は、人ではありません。構造です。
優秀なエンジニアを増やしても解決しない。PMOを増員しても解決しない。
構造が壊れているからです。再建とは、遅れたスケジュールを取り戻すことではありません。
崩壊した構造を作り直すことです。
ベンダーコントロール崩壊案件をどう立て直すのか
再生請負人#7 鎮火後2週間で健全化
ベンダーコントロールが崩壊した案件では、多くの企業がまず進捗回復に着手します。
しかし再建案件では、それだけでは改善しません。
私たちが現場に入る際、最初に確認するのは進捗率ではありません。
確認するのは次の4点です。
誰が意思決定しているのか
誰が課題を管理しているのか
ベンダー間の責任分界点は明確か
情報はどこで止まっているのか
実際には、遅れているタスクよりも、止まっている意思決定の方が深刻な問題であるケースが少なくありません。
そのため再生請負人は、「誰が悪いか」ではなく、
「なぜプロジェクトが動かなくなったのか」を徹底的に分析します。
構造を正常化し、意思決定を機能させ、課題解決の流れを作る。
すると不思議なことに、止まっていたプロジェクトは再び動き始めます。
炎上案件の再建とは、遅れたスケジュールを取り戻すことではありません。
プロジェクトを動かす仕組みを再生することなのです。
まとめ
ベンダーコントロールが崩壊する案件には共通する前兆があります。
「順調です」が増える
課題管理が形骸化する
責任転嫁が始まる
意思決定が止まる
PMOが資料作成組織になる
もし3つ以上当てはまるなら要注意です。既に炎上の入口に立っているかもしれません。
再生請負人は、問題が表面化してからではなく、前兆が見えた段階で介入します。
炎上案件は突然起きません。必ず前兆があります。
その前兆を見抜くことが、プロジェクト再建の第一歩です。
再生請負人として
私たちは単なるプロジェクト管理会社ではありません。
崩壊しかけたプロジェクトを再生するために存在しています。
もし現在のプロジェクトに、
・納期遅延が発生している
・品質問題が増えている
・ベンダーとの関係が悪化している
・経営層への説明に苦慮している
・現場から本当の情報が上がってこない
といった兆候が見られるのであれば、早めの対策をおすすめします。
問題が表面化する前の介入ほど、再建の選択肢は広がります。
また、軽度の課題についてはPMO講座もご活用いただけます。
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