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ベンダーコントロールが崩壊する5つの兆候|炎上案件になる前に見抜く方法

8月10日
読了時間: 9分

更新日:8月21日


 再生請負人#2 炎上案件は突然起きない

炎上案件は突然起きません。 納期遅延や品質問題は、 ある日突然発生したように見えます。 しかし実際には、 その前から必ず何らかのサインが現れています。


「ベンダーが悪い」炎上案件で最も多く聞く言葉です。


しかし、再生請負人として数多くのプロジェクト再建に携わってきた中で、本当にベンダーだけが原因だった案件はほとんどありません。


納期遅延。品質問題。要件変更の連鎖。ベンダー同士の対立。責任の押し付け合い。

これらは結果であって原因ではありません。


本当に見るべきは、その前に必ず発生している「ベンダーコントロール崩壊の兆候」です。

炎上案件は突然起きません。崩壊は静かに始まります。


そして多くの企業は、崩壊したことに気付く頃には既に手遅れになっています。

今回は再生請負人の視点から、ベンダーコントロールが崩壊する5つの兆候について解説します。



ベンダーコントロールとは何か


まず誤解を解きましょう。ベンダーコントロールとは、ベンダーを管理することではありません。

ベンダーを監視することでもありません。


本来のベンダーコントロールとは、

  • 意思決定を機能させる

  • 情報を正しく流通させる

  • 責任範囲を明確にする

  • 問題を早期発見する

ための仕組みです。


ところが炎上案件では、ベンダーコントロールを

「進捗確認」「会議開催」「報告資料作成」

と勘違いしているケースが非常に多くあります。


だから問題が見えなくなる。

だから炎上する。



なぜベンダーコントロールは崩壊するのか


多くの企業は、ベンダーコントロールが崩壊する原因をベンダー側に求めます。

しかし、再生案件の現場で見えてくる真実は少し異なります。


ベンダーコントロールが崩壊する最大の原因は、発注者がプロジェクトの主導権を失うことです。

意思決定が遅れる。課題が放置される。責任範囲が曖昧になる。


するとベンダーは自社を守る行動を取り始めます。その結果として、

  • 責任転嫁

  • 情報の出し渋り

  • 課題の先送り

  • 過剰な自己防衛

が発生します。


多くの人はこれをベンダーの問題だと思います。

しかし実際には、ベンダーが悪いのではなく、そうせざるを得ない構造が生まれているのです。


この状態になると、どれだけ優秀なベンダーを投入してもプロジェクトは改善しません。

だから再生請負人は、人ではなく構造を見るのです。



兆候① 「順調です」が増える


最も危険な兆候です。現場から報告が上がる。しかし内容を見ると、

  • 順調です

  • 問題ありません

  • 引き続き対応します

  • 現在確認中です

ばかり。


一見すると問題がないように見えます。しかし再生案件では、

こういうプロジェクトほど危険です。本当に健全なプロジェクトには必ず課題があります。


例えば

  • 設計レビューが遅れている

  • テスト環境準備が遅延している

  • 要件確認待ちが発生している

  • リソース不足が見えている

など。


課題がゼロということはありません。つまり問題は、課題がないのではなく、

課題を言わなくなっているのです。


現場には空気があります。

  • 報告しづらい

  • 責められる

  • 面倒になる

こうして重要な情報が失われます。


炎上案件の多くは、

問題が発生したから失敗するのではありません。

問題が見えなくなった時点で失敗が始まっています。



兆候② 課題管理が形骸化している


再生案件で最初に確認するのは課題管理表です。すると驚くほど綺麗な資料が出てきます。

しかし現場を聞くと、

  • 誰も見ていない

  • 更新していない

  • 実態と違う

というケースが少なくありません。


本当に危険なのは、課題管理表が存在しないことではありません。

存在しているのに機能していないことです。


例えば、

課題件数が何週間も変わらない。期限切れ項目が放置される。担当者が未設定。対策が「確認する」のまま。

これは管理ではありません。問題を先送りしているだけです。


健康診断を受けても、結果を見なければ意味がないのと同じです。



兆候③ ベンダー同士が責任転嫁を始める


再生請負人#4 問題ではなく、原因を見る

問題が分かっていても解決できない会社。問題が見えていないから失敗する。 そう考えている人は少なくありません。

ここから炎上が加速します。会議でこんな発言が増え始めます。

「要件が曖昧でした」

「設計レビューが不十分でした」

「テスト観点が不足していました」

「インフラ側の対応待ちです」


一見すると正論です。しかし問題は、誰も解決策を話していないことです。


責任論が中心になった瞬間、プロジェクトは前に進まなくなります。

再建案件では、責任者会議が裁判になっていることがあります。


  • 誰が悪いか

ではなく


  • どう立て直すか

に議論を戻せるか。


そこが分岐点です。ベンダーコントロールが機能している組織では、責任論の前に対策が出ます。

崩壊している組織では、対策の前に責任論が出ます。



兆候④ 意思決定が止まる


再生請負人#5 責任者が決断できない会社

責任者が決断できない会社。多くの人は責任者個人の問題だと考えます。しかし、私が見てきた炎上案件の多くはそうではありませんでした。


多くの企業は「ベンダー管理が悪い」と思っています。

しかし実際の炎上案件では、発注者側の意思決定停止が原因であることが非常に多い。


例えば

  • 要件変更の承認が下りない

  • 優先順位が決まらない

  • 追加予算が承認されない

  • リスク判断が先送りされる

すると現場は止まります。


ベンダーも動けません。結果として進捗が止まります。

再生案件でよく見かけるのが、会議は毎週やっているという状態です。


しかし決定事項がない。これは会議ではありません。情報共有会です。

プロジェクトを動かすのは会議ではなく意思決定です。


意思決定が止まれば、どんな優秀なベンダーでも成果は出せません。



兆候⑤ PMOが資料作成組織になっている


再建案件で最も多い問題です。PMOが忙しい。しかし成果が出ない。

理由は単純です。仕事が

  • 議事録作成

  • 進捗集計

  • 報告資料作成

  • 会議運営

だけになっているからです。


これはPMOではありません。事務局です。本来PMOは、問題を解決するために存在します。

例えば

  • リスク分析

  • 真因分析

  • ベンダー調整

  • 経営判断支援

  • 課題解決推進

まで関わるべきです。


ところが多くの現場では、管理することが目的になっている。

管理のための管理です。すると資料は増える。しかし問題は減らない。これが炎上案件でよく見る光景です。



再生請負人が見る本当の原因


私たちは、ベンダーを見ていません。もっと深いところを見ています。

例えば

  • なぜ問題が見えないのか

  • なぜ判断できないのか

  • なぜ責任が曖昧なのか

  • なぜ情報が上がらないのか

です。


炎上案件の原因は、人ではありません。構造です。

優秀なエンジニアを増やしても解決しない。PMOを増員しても解決しない。


構造が壊れているからです。再建とは、遅れたスケジュールを取り戻すことではありません。

崩壊した構造を作り直すことです。



ベンダーコントロール崩壊案件をどう立て直すのか


再生請負人#7 鎮火後2週間で健全化

炎上案件を鎮火できたからといって、再生できたわけではありません。本当の勝負はその後です。


ベンダーコントロールが崩壊した案件では、多くの企業がまず進捗回復に着手します。

しかし再建案件では、それだけでは改善しません。


私たちが現場に入る際、最初に確認するのは進捗率ではありません。

確認するのは次の4点です。

  • 誰が意思決定しているのか

  • 誰が課題を管理しているのか

  • ベンダー間の責任分界点は明確か

  • 情報はどこで止まっているのか


実際には、遅れているタスクよりも、止まっている意思決定の方が深刻な問題であるケースが少なくありません。

そのため再生請負人は、「誰が悪いか」ではなく、


「なぜプロジェクトが動かなくなったのか」を徹底的に分析します。

構造を正常化し、意思決定を機能させ、課題解決の流れを作る。


すると不思議なことに、止まっていたプロジェクトは再び動き始めます。

炎上案件の再建とは、遅れたスケジュールを取り戻すことではありません。


プロジェクトを動かす仕組みを再生することなのです。



まとめ


ベンダーコントロールが崩壊する案件には共通する前兆があります。

  1. 「順調です」が増える

  2. 課題管理が形骸化する

  3. 責任転嫁が始まる

  4. 意思決定が止まる

  5. PMOが資料作成組織になる


もし3つ以上当てはまるなら要注意です。既に炎上の入口に立っているかもしれません。

再生請負人は、問題が表面化してからではなく、前兆が見えた段階で介入します。


炎上案件は突然起きません。必ず前兆があります。

その前兆を見抜くことが、プロジェクト再建の第一歩です。



再生請負人として


私たちは単なるプロジェクト管理会社ではありません。

崩壊しかけたプロジェクトを再生するために存在しています。


もし現在のプロジェクトに、

・納期遅延が発生している

・品質問題が増えている

・ベンダーとの関係が悪化している

・経営層への説明に苦慮している

・現場から本当の情報が上がってこない

 

といった兆候が見られるのであれば、早めの対策をおすすめします。

問題が表面化する前の介入ほど、再建の選択肢は広がります。


また、軽度の課題についてはPMO講座もご活用いただけます。



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