再生請負人が見た システム移行が遅延する本当の理由
- 10 分前
- 読了時間: 8分
はじめに
「移行作業の遅延が発生しています。」プロジェクトの現場ではよく聞く言葉です。
システム移行案件では、
移行計画の遅延
テストの遅延
データ移行の遅延
リリース延期
が発生します。
多くの人は、
人員不足
工数不足
技術的問題
を原因だと考えます。
しかし、私がこれまで携わってきた自動車業界や電力業界の大型案件では少し違いました。
本当に遅延を発生させているのは、技術ではありません。意思決定の遅れです。
システム移行の遅延は突然発生しない
炎上案件と同じです。システム移行の遅延も突然発生しません。
必ず前兆があります。例えば、
課題が増えている
レビュー待ちが増えている
判断保留が増えている
会議が増えている
報告が曖昧になる
こうした小さな変化です。
しかし多くの組織は、スケジュールが破綻して初めて危機感を持ちます。
私はこれまで、本当に突然遅延した案件を見たことがありません。
遅延にも前兆があります。
会議が増える
報告が曖昧になる
課題が放置される
責任者の発言が減る
判断保留が増える
こうした小さな変化を見逃した結果として、システム移行の遅延は発生するのです。
関連記事
▶ 再生請負人とは
移行が遅れる案件は最初から遅い
「移行が遅れている」という報告を受ける頃には、実はすでに手遅れになっていることがあります。
なぜなら、遅延案件は移行工程から遅れるのではないからです。
多くの場合、
要件定義
現行調査
設計レビュー
の段階で遅れ始めています。
しかし、「まだ取り戻せる」という楽観論によって問題が先送りされます。
結果として、移行判定の直前になって全ての問題が表面化するのです。
移行計画は正しく作られている
多くの案件では、移行計画そのものは存在します。
WBS
ガントチャート
移行スケジュール
すべて作成されています。
問題は計画ではありません。計画通りに進めるための判断が行われていないことです。
システム移行でよくある遅延パターン
現行調査が終わらない
システム移行の基本は現行調査です。
しかし、
システムが複雑
ドキュメント不足
担当者不在
により調査が長期化します。
すると後続工程がすべて遅れます。
クラウド移行でもシステム移行でも、現行調査不足は高確率で後工程の遅延につながります。
課題が放置される
移行案件には必ず課題が存在します。問題は課題の存在ではありません。
放置されることです。会議で報告されても、
確認します
検討します
調整します
だけで進まない。
これが最も危険です。再生請負人として現場へ入ると、まず課題管理表を確認します。
なぜなら重要なのは、何が問題かではなく、なぜ問題が解決されないのかだからです。
再生請負人は問題を見ません。原因を見ます。
関連記事
責任分界点が曖昧
移行案件では、
顧客
SIer
ベンダー
運用部門
が関与します。
その結果、
誰が決めるのか
誰が責任を持つのか
誰が承認するのか
が分からなくなります。
すると遅延が発生します。私はこれまで多くの再建案件で共通する問題を見てきました。
それは、誰もボールを持たなくなることです。
顧客が判断待ち。SIerが確認待ち。ベンダーが承認待ち。
気付けば誰も意思決定していません。
システム移行を止めているのは技術ではなく、意思決定の停滞なのです。
関連記事
私が最も警戒する言葉
現場で必ず出てくる言葉があります。「なんとかします」です。
私はこの言葉を聞くと警戒します。
なぜなら、何を、誰が、いつまでに、どうやって解決するのか明確ではないからです。
本当に管理されている案件では、「○月○日までに担当者○○が対応します」
という具体的な回答になります。曖昧な回答が増え始めたら、遅延はすでに始まっています。
遅延案件でよく聞く言葉
再生請負人として現場に入ると、高確率で次の言葉を聞きます。
想定より時間がかかっています
調整中です
関係者確認中です
承認待ちです
これらが増え始めたら危険信号です。
実際には作業が遅れているのではありません。判断が止まっているのです。
クラウド移行案件でも同じでした。ベンダーが増える案件でも同じでした。
PMOを導入している案件でも同じでした。PMOは、
課題を見える化する
リスクを整理する
進捗を管理する
ことはできます。
しかし、
承認
判断
決断
はできません。決断するのは組織です。
関連記事
データ移行で最も多い誤解
システム移行ではデータ移行が最後に残ります。
しかし多くの組織は、「データを移すだけ」と考えています。
実際は違います。データ移行で最も時間がかかるのは、移送作業ではなくデータの整理です。
例えば、
不正データ
重複データ
未使用データ
不整合データ
が大量に見つかります。そして、その扱いを決められない。結果として移行が止まるのです。
テスト工程で遅延が顕在化する
システム移行では、テスト工程で問題が表面化します。
なぜでしょうか。それまで見えなかった問題が一気に顕在化するからです。
データ不整合
性能問題
インターフェース不具合
運用設計不足
本来は設計段階で解決すべき問題です。
しかし判断が先送りされた結果、テスト工程で爆発します。
現場でよくある誤解があります。「テストで確認します」という発言です。
しかし、テストは問題を発見する場所ではありません。問題がないことを確認する場所です。
テスト工程で重大課題が大量に発見される案件は、すでに前工程に問題を抱えているのです。
切替判定会議の恐怖
再生請負人として現場へ入ると、最も緊張感が漂うのは切替判定会議です。
その場でよく聞く言葉があります。
大丈夫だと思います
たぶん問題ありません
やってみないと分からないです
この発言が出た瞬間、私は危険信号だと思っています。
本来必要なのは、「確認済みです」です。
希望ではなく根拠。これが重要です。
自動車・電力案件で感じること
私が関わってきた大型案件では、移行対象が数百サーバになることもあります。
しかし、サーバ台数が多いから遅延するわけではありません。
実際には、
判断が遅い組織
責任が曖昧な組織
リスクを隠す組織
ほど遅延します。
逆に、問題を早く共有する案件は大規模でも進みます。
遅延案件に共通する管理表
遅延案件には特徴があります。課題管理表を見ると分かります。
例えば、
対応中
保留
担当確認中
ばかりが並んでいる。
つまり、管理されているようで何も解決されていないのです。
私は進捗率より先に課題管理表を確認します。
再生請負人が見る3つの数字
遅延案件へ入った時、私が確認するのは進捗率ではありません。
まず見るのは、
未決事項件数
承認待ち件数
期限超過課題件数
です。本当に危険な案件は、スケジュールではなく未決事項の数に現れるからです。
再生請負人が最初に見るもの
私が遅延案件へ入った際、最初に見るのは進捗率ではありません。まず確認するのは、
未決事項
承認待ち一覧
課題管理表
責任者一覧
です。そして最も重要なのが、誰が決めるのかです。
スケジュールを決める人
品質を判断する人
予算を判断する人
最終責任者
これが曖昧な案件は高確率で遅延します。進捗率よりも先に、意思決定の流れを見る。
これが再生請負人の視点です。
関連記事
▶ 再生請負人とは
まとめ
システム移行が遅れる案件には共通点があります。技術的に難しいからではありません。
課題が放置される
判断が先送りされる
責任が曖昧になる
誰も決断しなくなる
そして気付いた時には、移行計画全体が崩れているのです。
システム移行が遅延する理由は、技術的な問題だと思われがちです。しかし実際には、
現行調査不足
課題放置
責任分界点の曖昧さ
承認遅延
意思決定不足
が原因であることが少なくありません。
再生請負人は問題を見ません。原因を見ます。
そして多くの移行案件で本当の原因は、技術ではなく、決められない組織に存在しているのです。
もし現在のプロジェクトに不安を感じているのであれば、一度危険度診断をご活用ください。
また、軽度の課題についてはPMO講座もご活用いただけます。
▶ PMO講座
関連記事
▶ 再生請負人とは
関連動画
▶ 再生請負人の流儀#2 炎上案件は突然起きない
▶ PMOは魔法使いではない
再生請負人|炎上プロジェクト再建専門|SBC株式会社

















コメント