「対応中・確認中・調整中」が危険な理由
対応中・確認中・調整中が危険な理由
対応中。確認中。調整中。炎上案件で、必ずと言っていいほど聞く言葉です。本記事では、対応中・確認中・調整中が危険な理由について、実際の炎上案件や再建案件の事例を交えながら解説します。
一見すると問題のない報告に見えます。しかし、この言葉が増え始めたプロジェクトほど、後から大きな問題が表面化するケースを数多く見てきました。
プロジェクトを壊すのは障害ではありません。仕様変更でもありません。納期遅延でもありません。
プロジェクトを壊すのは、「みんな状況を分かっている気になっていること」です。
「対応中」「確認中」「調整中」という言葉が飛び交い始めたら要注意です。
それは進捗報告ではなく、問題が見えていないサインかもしれません。
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以前、私が支援に入った炎上案件でこんな会話がありました。
PM「課題Aはどうなっていますか?」
担当者「対応中です」
PM「課題Bは?」
担当者「確認中です」
PM「リリース日は?」
担当者「調整中です」
一見すると問題はありません。全員が何かしら動いているように聞こえます。
しかし、この会話は毎週繰り返されていました。
そして1か月後。納期は遅延。課題は未解決。関係者は疲弊。
典型的な炎上状態になりました。
なぜか。誰も嘘は言っていなかったからです。
そして、誰も現状を説明できていなかったからです。
炎上案件は突然始まらない
多くの人は、
障害が発生した
リリースに失敗した
納期に間に合わなかった
から炎上したと思っています。
しかし実際は違います。炎上案件は突然発生するのではありません。
数か月前から兆候があります。その兆候の一つが、
対応中
確認中
調整中
という曖昧な報告です。
最初は小さな違和感です。しかし、その違和感を放置すると、やがて誰も現状を説明できなくなります。
そして気付いたときには、「なぜもっと早く分からなかったのか」という状態になります。
「対応中」は何も報告していない
例えば、「課題Aはどうなっていますか?」と質問したとします。
そこで返ってきた回答が、「対応中です」だった場合。実は何も分かりません。
原因調査中なのか
修正中なのか
顧客説明中なのか
ベンダーへの依頼待ちなのか
すべて不明です。
極端な話、昨日も対応中。今日も対応中。来週も対応中。これでも嘘ではありません。だから危険なのです。
プロジェクト管理で必要なのは、「動いていること」ではありません。「どこまで進んでいるか」です。
「確認中」が案件を止める
私が現場で最も多く聞く言葉は、「確認中です」です。しかし、確認中という言葉の裏側を見ると、
実は単に待っているだけのケースが少なくありません。
例えば、「ベンダーへ確認しています」と言いながら、
回答期限なし
催促なし
エスカレーションなし
ということがあります。
その結果、1週間後の定例会。「どうなりましたか?」「まだ確認中です」
さらに翌週。「どうなりましたか?」「まだ確認中です」となります。
確認しているのではありません。待っているだけです。本来であれば、
回答期限を設定する
回答がなければ催促する
さらに回答がなければエスカレーションする
最悪の場合の代替案を準備する
ところまで考えておく必要があります。優秀な人ほど、確認するだけではなく、結果を取りに行きます。
一番危険なのは「調整中」
私はこの3つの中で、最も危険なのは「調整中」だと思っています。
なぜなら、責任者が存在しない状態が隠れていることが多いからです。
例えば、「リリース日は決まりましたか?」という質問に対して、
「現在調整中です」と回答があったとします。
すると、仕事が進んでいるように聞こえます。しかし実態を確認すると、
営業は開発待ち
開発はインフラ待ち
インフラは顧客回答待ち
顧客はベンダー回答待ち
全員が待っている。
誰も決めていない。そんな状況が珍しくありません。
つまり、調整中という言葉の正体は、意思決定の不在なのです。
決める人がいない組織では、調整という言葉が増えます。決める人がいる組織では、結論が増えます。
課題管理表を見ると案件の健康状態が分かる
私が炎上案件へ入ったとき、最初に見るものがあります。それは課題管理表です。そこに、
対応中
確認中
調整中
検討中
協議中
が大量に並んでいたら危険信号です。
なぜなら、管理されているのが課題ではなく状態だからです。
本来管理するべきなのは、「今何をしているか」ではありません。「次に何をするか」です。
課題管理表は、ステータスを書くためのものではありません。行動を管理するためのものです。
優秀な人の報告は具体的
優秀な人は曖昧な言葉を使いません。例えば、「A社へ確認依頼済みです。回答期限は11月10日17時です。未回答の場合は11日に部長経由でエスカレーションします」
この報告であれば、
誰が
何を
いつまでに
次に何をするか
が全て分かります。
だから追加質問が不要です。だから信頼されます。つまり、優秀な人は説明が上手なのではありません。
状況を正確に把握しているから説明できるのです。
私がPMOとして必ず確認する4項目
報告を受けたら、私は必ず次の4点を確認します。
① 誰がやるのか
担当者は明確か。
② 何をやるのか
具体的なアクションは定義されているか。
③ いつまでにやるのか
期限は設定されているか。
④ 失敗したらどうするのか
次の打ち手は準備されているか。
この4つが答えられなければ、その課題は管理されていません。放置されているだけです。
まとめ
私はこれまで、多くの炎上案件や再建案件に入ってきました。そこで共通していたのは、
技術力不足ではありません。人員不足でもありません。報告の曖昧さです。
対応中
確認中
調整中
この言葉が増え始めたら要注意です。
そのプロジェクトでは、課題が管理されているのではなく、放置されている可能性があります。
仕事ができない人は、状態を報告します。
対応中です
確認中です
調整中です
仕事ができる人は、事実を報告します。
誰が
何を
いつまでに
次に何をするのか
まで伝えます。
私が見てきた炎上案件の多くは、技術的な問題で失敗したのではありません。
曖昧なコミュニケーションが積み重なった結果、失敗したのです。
もしあなたが次の会議で、「対応中です」と言おうとしているなら、一度立ち止まってください。
その言葉は進捗報告でしょうか。それとも、考えることを止めるための便利な言葉になっていないでしょうか。
もし現在のプロジェクトに不安を感じているのであれば、一度危険度診断をご活用ください。
また、軽度の課題についてはPMO講座もご活用いただけます。
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